シャワールーム

食物センイ入りのケミカルなドリンクが好きだと言うとそれは自傷癖ではないかと私は言った。ジショウヘキというのは自らの身体を切り刻みたい願望のことだろうと僕が言うとそのガンボウを持っているだろうと私が言う。確かに包丁を扱っているときに手が滑ったふうを装って左手人差し指の肉を削ぎ落したこともあるし使い方を誤ったふうを装って右手親指の指紋に沿ってカッターの刃を滑らせたこともあるし「手相は自分で伸ばしても良い」と聞いて大義名分を得たと左掌の頭脳線に沿って小刀の刃を走らせたこともあるけれどジショウヘキというにはあまりにもオソマツすぎて笑えるほどではないか。指のサカムケをむしりとって第一関節あたりを締め上げ丸く盛り上がる血液を見るだけで満足できるほどなのだから抱腹絶倒。それでも例えば雨の中カサをささずに帰ることが出来るかと僕が問うても私は何も答えられずにただじっと流れ出る赤黒いソレを見つめるだけなのである。